偏屈CINEMA録

January 28, 2007

 おととしの年初からやり始めたのが、レンタルDVDなどで観た映画(テレビシリーズも含む)を記録することだった。というのも、いったい1年にどれぐらいの作品を観ているのか、それはどんな作品なのか、自分でもよくわからなかったためで、借りてくるなどして観たたびに、パソコン・デスクトップに置いているシンプルな日記帳に書き留めることを心がけた。その結果、ときおり記録し損じはあったと思うが、2005年は173本だった。ま、われながらよく観たナ、という程度の感想だが。

 そこで去年もやりました。傑作・凡作・愚作・駄作……いや、いろいろ。
 一覧の中のマークは傑作とか、凡作というような評価ではなく、ぼく自身が“面白かった”もの。は評判倒れとか、ぼくにとって期待はずれとか、その程度。

 昨年は、昔の日本映画を多く観たような気がする。東宝『駅前シリーズ』『社長シリーズ』はDVDのニューリリースで、とくに『駅前…』はまったくの未見で、観たかったものだ(『社長…』は『若大将』シリーズとの併映などで、後期のものはわりと観ている)。
 その『駅前…』では、1本目の『駅前旅館』(豊田四郎監督)は傑作だった。主役の森繁がニヒルで二枚目の旅館の番頭を演じている。『社長…』のほうの楽しみはただひとつ、スケベな社長・森繁と、宴会だけが生きがいの三木のり平の課長の2人が披露する隠し芸のシーンだ。いま観たってすごく笑える。
 古い映画もう1本、たしかに傑作だと思ったのが、大映『殺陣師段平』。新国劇をつくった沢田正次郎を演じる市川雷蔵、昔気質の殺陣師・中村雁治郎どちらも素晴らしかった。ちなみに脚本は黒澤明だ。

 もうひとつは、相変わらず“功夫もの”が多い。これも昔の(たぶん日本未公開の)作品がリリースされていることなどによるのだが、ちょっと軽んじていて未見だったメイド・イン・タイの『マッハ』(ノーCG、ノースタント、ノーワイヤが謳い文句)には引っ繰り返り、次作の『トムヤムクン』にも満足した。それにしても、ここで使われている武術は何だろうか? ムエタイじゃないよな。

 

 

夢のチョコレート工場1月 17本
『亡国のイージス』/『鉄人28号』実写版/『交渉人 真下正義』/『ER-X』7〜11
『チャングムの誓い』13、14/『スターウォーズepisode3』/『ホステージ』ブルース・ウィリス/『やくざの詩』アキラ DVD購入/『ボブ・ディランの頭の中』/『マラソン』/『ダニー・ザ・ドッグ』ジェット・リー/『シンデレラ・マン』ラッセル・クロウ/『狼よ落日を斬れ』池波正太郎原作だが、原作者が気に入らなかったとか/『夢のチョコレート工場』ジーン・ワイルダー ジョニー・デップ版ではないよ。

2月 18本
『チャングムの誓い』15/『星になった少年』/『大脱走 コルディッツ収容所』上下/『ザ・グリッド』1〜3/『雀魔アカギ』柏原崇/『プレシディオ殺人事件』ルー・ダイアモンド・フィリップス/『鉄人28号』1 アニメ版だが時代がマンガが描かれた同時代の戦後すぐ!/『実録・関東やくざ抗争史 松田組』1、2/『CSI:マイアミ』1〜3/『メグレ警視シリ−ズ 殺人鬼に罠をかけろ』ジャン・ギャバン。リノ・バンチュラが若い。/『フライ、ダディ、フライ』/☆『セブンソード』アクション監督で主役の1人・劉家良の面目躍如。監督はツイ・ハーク

炎の英雄シャープ3月 10本
『イントゥ・ザ・サン』スティーブン・セガール in Japan/☆『炎の英雄シャープ』1 英仏戦争を舞台にしたイギリス版“独立愚連隊”。以降、ぼくはこのシリーズにハマッていく。/『CIA』/『レオナルド・ダヴィンチ』/『マザー・テレサ』オリビア・ハッセー なかなかよろし。/『花都大戦』ジャッキー・チェンの息子が主役だが、たいしたことなし。/『チャングムの誓い』16/『新・少林寺伝説』ジェット・リー 洪煕官の物語 子連れ狼。/☆『マッハ』評判通りの面白さだった。すまぬ/『Be Cool 』トラボルタ

4月 12本
▼『キルビル2』1よりダメ/『テキサスレンジャーズ』/『シャーキーズ・マシーン』バート・レイノルズ。映画で見、小説を読んだものを再見/『炎の英雄シャープ』2〜6/『エンジェルズ・イン・アメリカ』1、2/『親切なクムジャさん』イ・“チャングム”・ソンエ/『NANA』

5月 15本
『炎の英雄シャープ』7〜14/▼『ブラザーズ・グリム』ギリアムにだって愚作はある。/『チャングムの誓い』17/『容疑者 室井慎次』/☆『ドミノ』実在の女賞金稼ぎの物語。メイキングでは本人が登場(映画完成前に死去)/『コーヒー&シガレッツ』ジャームッシュ。見ているだけで煙い。/『フライトプラン』/▼『アイ・ウォーク・ザ・ライン』J・キャッシュというワガママなオトコの物語。

駅前旅館6月 19本
☆『タカダワタル的』ようやく見参!/『サヨナラCOLOR』竹中尚人 原田知世/『ヤング・シャーロック・ホームズ』(スピルバーグのではない新作。×)/『沈黙の追撃』スティーブン・セガール/☆『スタンドアップ』鉱山労働者として差別・偏見と闘う女の物語/『ディック&ジェーン』ジム・キャリー/『ルパン』/『へそくり社長』社長シリーズ/☆『駅前旅館』駅前シリーズ第1作 この東宝『社長シリーズ』『駅前シリーズ』がリリースされ始め、高度成長期の日本を企業と庶民の両サイドから描いたこの喜劇の2つのシリーズを見始めることになる。/☆『駅前温泉』/『蝉しぐれ』市川染五郎。NHK版・内田聖陽に敵わなかった。/『社長三代記』/☆『駅前団地』/『続・網走番外地』/☆『殺陣師段平』脚本・黒澤明 監督・マキノ雅博。初見。面白い!/『社長洋行記』/『社長漫遊記』/『白昼堂々』結城昌治原作、渥美清・野村芳太郎版。クレージー・キャッツ版を池袋の名画座で見て、大笑いした記憶がある。/『駅前弁当』

7月 19本
『社長忍法帖』/『駅前金融』/『ライフ オン ザ ロングボード』大杉漣。オジサンはサーファーをめざす。/『チャングムの誓い』18 これがようやく最終巻。人気でずっと借りられず、ここまでかかってしまった。第1巻を見たのは昨11月/『グリーン・ホーネット2』ブルース・リー。挫折/『社長道中記』/☆『スピリット』ジェット・リー。清朝末期の霍元甲という実在の武術家の物語。ブルース・リー『怒りの鉄拳』で冒頭、葬儀が行われているブルースの師がこの霍元甲。日本人コックに毒殺されたという伝説がある。/☆『探偵ナイト・スクープ』1〜4 名作集で見たことがあるものも多かった。それにしても、こんなユニークでオモロイ番組を、どうしてテレビ朝日はもう放映しないの?/『社長外遊記』/☆『博士の愛した数式』book録で書いた通りの評価。/『オリバー・ツイスト』ポランスキー/『歓びを歌声にのせて』/『沈黙の脱獄』スティーブン・セガール/『メル・ブルックスの大脱走』/☆『父と暮らせば』黒木和雄監督、宮沢りえ/『つむじ風』渥美清

8月 21本
『座頭市血笑旅』/『空中庭園』/『カーテンコール』藤井隆/『昭和残侠伝』/『力道山』韓国映画/『上海陸戦隊』戦時中につくられたドキュメント+ドラマによる上海上陸物語だが古くて画像が悪すぎる。/『香港クレイジー作戦』/『クレージー作戦 くたばれ無責任』/『ゼロ・ファイター大空戦』加山雄三が零戦隊の隊長に。モノクロ映画/☆『海猿』1〜4 映画も面白かったけどテレビもね。/『青島要塞爆撃命令』加山雄三・夏木陽介・佐藤允。中学の頃に映画館で見て、すっごく面白かった記憶があったのだが…/☆『タイガー&ドラゴン』1〜5 まとめて見直したらやっぱり面白かった。/[兵隊やくざ 脱獄』再見。以下同/『兵隊やくざ 大脱走』

9月 12本
『続兵隊やくざ』/『新兵隊やくざ』/『プリズン・ブレイク』1〜7/『シリアナ』ジョージ・クルーニー/『燃ゆるとき』中井貴一 日清食品アメリカの物語/▼『ミュンヘン』スピルバーグ

10月 18本
☆『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』トミー・リー・ジョーンズ監督・主演/『The Myth 神話』ジャッキー・チェン/『ファイアーウォール』ハリソン・フォード/『キスキス、バンバン』ロバート・ダウニーjr ヴァル・キルマー 軽ハードボイルドのパロディ/『トゥー・フォー・ザ・マネー』アル・パチーノ スポーツ賭け予想の天才/☆『ホテル・ルワンダ』/『駅前競馬』脚本・藤本義一/『駅前飯店』/『駅前開運』/『サラリーマン忠臣蔵』/▼『ピンクパンサー』スティーブ・マーティン ピーター・セラーズ版がとっても面白かったとは言わないけれど…/『プロデューサーズ』メル・ブルックス原作 スタイルがすごくクラシックで、そこがねらいなのかも知れないが……/『県庁の星』凡作/『間宮兄弟』森田芳光 とくに意見はなし/『大菩薩峠 完結編』(雷蔵版) 見落としていたもので。/『単騎、千里を走る。』陳凱歌のキモチはわかるけど。/『ALWAYS 三丁目の夕日』ごめんね。/『さすらい』アキラ “とんぼ返り〜で、今年も暮れた〜”が挿入歌。

11月 20本
『ゴスペル』/『夢駆ける馬ドリーマー』/『英雄少林拳』劉家輝初主演 ウォン・フェイ・ホン(黄飛鴻もの)/『英雄少林拳 武館激闘』前作のシリーズ/『駅前女将』/『でかんしょ風来坊』アキラ 銀座の次郎長シリーズ/▼『ダヴィンチ・コード』/『女を忘れろ』アキラ/▼『有頂天ホテル』三谷作品でいつも思うのは、舞台なら面白いんだろうな…/☆『トムヤムクン』 『マッハ2』とでもいうべき映画だが、今回は主演者の体技だけでなく、長回しのアクションシーンなどにもビックリ。/『中山七里』雷蔵/『駅前茶釜』/『クライング・フィスト』新宿の殴られ屋の物語を韓国で映画化。/『東京の暴れん坊』アキラの銀座の次郎長シリーズ/『パープル・バタフライ』戦時下の中国 香港映画で仲村トオル主演/『風のファイター』 『力道山』に続いて韓国のヒーロー、マス・オーヤマ物語を映画化/『銀座旋風児 嵐が俺を呼んでいる』/『ごろつき』健さんがキックボクサーに! でもやっぱりドスを片手に殴り込み…という怪作/☆『ジャコ萬と鉄』深作欣二、高倉健、丹波哲郎/『ブレイキング・ニュース』香港映画

12月 6本
『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第6番』(有料試写会で。監督の龍村さんに久々にお目にかかる)/『網走番外地 悪への挑戦』/『人魚亭異聞 無法街の素浪人』第1巻 三船敏郎主演。1巻見てやめた。/『わが母の教えたまいし』向田邦子スペシャル/『恋するベトナム〜縦断1800kmの旅物語』/☆『悪魔のようなあいつ 1』プロデューサー・久世光彦、原作・阿久悠、上村一夫、脚本・長谷川和彦、主演・沢田研二、主題曲『時の過ぎゆくままに』。出演 若山富三郎、藤竜也、荒木一郎、安田道代……このシリーズ、見損なっていたのを見つけた。今年はこれから見るのだ。



(01:29)

January 05, 2006

 父親の叔父貴が郷里で何軒か映画館を持っていたことと、父親が無類の映画好きだったせいで、物心つく前から映画館に連れて行かれており(タダ券がもらえるのだ)、すでに小学生の後半には劇場招待券を握りしめ、一人で日活アクションや大映時代劇などを見に行くようになっていた。そんな育ち方だったから、ぼくの日常生活にはずっと「映画」というアイテムが当たり前のように存在している。

さすがに近年は、劇場へ足を運ぶことはめっきり減ったけれども(並ばされたりするのが嫌だ)、レンタルのビデオはよく観ており、昨年初めにようやく安いDVD再生機を手に入れてからはもっぱらDVDで楽しんでいる。とはいえ、ぼくがいま住む町のレンタルビデオ店は、この10年ほどの間に3軒あったのがいずれも姿を消したために、仕方なく新宿まで出て行く、あるいは新宿経由でどこかへ赴く用事があるときに新宿東口のTSUTAYAを御用達として借りたり返したりしているので、面倒といえば面倒なことになっているのだけれど。

 

しかし、家で観るレンタルのビデオあるいはDVDは、劇場で観るの違い緊張感が欠けるからか、また酒を飲みながら観ているというようなシチュエーションが多いからだろうか、つまらないのは観る片端から忘れていく。観た作品のタイトルさえ憶えていないことも少なくない。

そこで、オレはいったいどのような映画をどれぐらい観ているのだろうと、去年の正月に一念発起して(というほど大袈裟なものではないけれど)、記録を付けることにした。といっても、感想なんぞを書き始めたらきりがないので、タイトルのほかは監督や役者、原作など、ちょっとメモしておきたいものを、パソコン上の簡単な日記帳に書き留めるだけのことなのだが、その昨年1年分が以下の記録だ(映画だけでなく、内外のテレビドラマも多い)。

これを眺めると、月によってすごく少ないときもあって、きっと記録しそこなっているものがけっこうあるのではないかと思われる。

ともあれ、こうやって振り返ると、昨2005年は、オンエア時にテレビで観て以来、もう一度観てみたいとずっと思っていた岡本喜八監修のテレビドラマ『遊撃戦』(68〜69年)のDVDと邂逅し、狂喜乱舞したところから始まり、韓流テレビドラマ『チャングムの誓い』のドラマづくりに感心し、感動し、ハマったところで終わった1年だった。結局、劇場で見たのはジョニー・デップの『ネバーランド』だけだった。 赤字は面白かったもの。「挫折」は途中で観るのをやめたもの)

 

 

1月 19本

遊撃戦テレビ版独立愚連隊「遊撃戦」佐藤允1、2、3/藤田敏八監督 梶芽衣子「修羅雪姫」「修羅雪姫 怨み恋歌」映画館で見て以来の再見/小林旭 舛田利雄「完全なる遊技」芦川いずみが可愛い/「散打王」/ジェリー・ブラッカイマー製作「キング・アーサー」/黒澤明脚本「敵中横断三百里」/大林宣彦「なごり雪」/ジョニー・デップ「ネバーランド」(映画館で)/ジェームズ・コバーン「地上最大の脱出作戦」/「ホーンブロワー 海の勇者」1〜6/「新・少林寺三十六坊」リュウ・チアフイ 監督劉家良 方世玉の物語

 

2月 12本

ダメ男のダメな日常「アメリカン・スブレンダー」ワンダフルでした/「愛の落日」原作:G・グリーン『おとなしいアメリカ人』/「ホーンブロワー」7、8/チャン・イーモウ「Lovers」/「ホテル ヴィーナス」//ケイト・ブランシェット「ヴェロニカ ゲイン」/チョウ・ユンファ「上海灘」1、2/「ビッグ・フィッシュ」ティム・バートン監督/「海猿」/「MASK DE 41」田口トモロヲ主演

 

3月 28本

「上海グランド」(「上海灘」の映画化) ツイ・ハーク プロデュース、アラン・タム レスリー・チャン/「上海灘」 5〜9/「インファナル・アフェア2」/「ホネツギマン」コーエン兄弟脚本/「沈黙の聖戦」スティーブン・セガール/「南少林」/「コラテラル」トム・クルーズ/「エゴイスト」アンディ・ガルシア/「マスター・アンド・ウォリアー」上下  コッポラ総指揮/「昭和残侠伝 血染めの唐獅子」疲れているときには任侠映画です/「スウィングガールズ」 ぐね?いぐね?/「昭和残侠伝 人斬り唐獅子」/「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 辛亥革命(2枚組)」/「マッスル・モンク」アンディ・ラウ/「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」/「昭和残侠伝」/「酔いどれ博士」勝新太郎/「侠骨一代」マキノ雅博 高倉健/「パブリック・アイ」ロバート・ゼメキス制作 ジョー・ペシ 再見

 

4月 7本

「80日間」J・チェン/テレビ時代劇「斬り抜ける」1〜6近藤正臣

 

5月 15本

渡辺謙「仕掛人 藤枝梅安」シリーズ1〜3/アラン・パーカー「ケロッグ博士」上野圭一さんご推薦/「機関車先生」/「オールド・ボーイ」/「スタスキー&ハッチ」テレビシリーズを新たに映画化。ダメ/「ヤング・ブラック・スタリオン」馬の映画です/横山秀夫原作・仲間由紀恵「顔」1〜4/「三文役者」新藤兼人 竹中直人/「ゲーム」仲間由紀恵/篠田節子原作「カノン」行定勲 賀来千香子

 

6月 9本

「五線譜のラブレター」ケビン・クライン コール・ポーター物語/「アナーキスト」韓国映画 上海20年代、朝鮮・義烈団/「ターミナル」S.スピルバーグ トム・ハンクス/「Ray./「スカイ・キャプテン」挫折/「シークレット・ウインドウ」ジョニー・デップ 半分のところでネタが割れた/「キャットウーマン」ハル・ベリー/ヘンリー・ミラー原作、クロード・シャブロル監督「クリシーの静かな日々」 昔のモノクロ版のやつがよかった/「パーマネント・ミッドナイト」

 

7月 6本

「コニー&カーラ」 傑作音楽映画/「ソルトン・シー」バル・キルマー ヤク中の潜入捜査官/「スーパーサイズ・ミー」マクドを1ヵ月食べ続けたドキュメント/「ピーター・セラーズの愛し方」ピーター・セラーズの伝記

/「サイドウェイズ」 主役は「アメリカン・スプレンダー」の彼/「マイ・ボディガード」デンゼル・ワシントン、原作は『燃える男』

 

8月 13本

パッチギ「隠し剣、鬼の爪」/「笑いの大学」稲垣吾郎がどうも…/「パッチギ」井筒和幸久々の快作/「大統領の理髪師」大統領とは韓国のそれ。/「ボーン・スプレマシー」マット・ディモン/萬屋錦之介「それからの武蔵 」1〜6/「新・香港国際警察」ジャッキー・チェン 久しぶりの力作/「トレジャー・ハンター」ニコラス・ケイジ

 

9月 6本

「真説 タイガーマスク」船木将勝がタイガー 哀川翔/「エイリアス」1〜4/安藤昇自伝「渋谷物語」村上弘明 やっぱりご当人が最後にちらっと出るんだ…

 

10月 17本

マーティン・スコセッシ「アビエイター」デイカプリオ/「失われた龍の系譜」ジャッキー・チェンの親父の物語 ドキュメント/「ビヨンド・ザ・シー」ボビー・ダーリン物語 ケビン・スペイシー 見事/中島らも原作「お父さんのバックドロップ」宇梶剛志/「南少林三十六坊」1〜6 方世玉の物語/「沈黙の標的」スティーブン・セガール/キム・ベイシンガー「セルラー」/「ローレライ」CGがまるで書き割り/「恋は五・七・五」/向田邦子ドラマスペシャル「眠る盃」久世光彦演出/「理由」大林宣彦/向田スペシャル「夜中の薔薇」

 

11月 23本

チャングムの誓い「デンジャラス・ビューティー2」サンドラ・ブロック/「ミリオンダラー・ベイビー」C.イーストウッド/「チャングムの誓い」1〜10/向田スペシャル「いつか見た青い空」/「リバイバル・ブルース」/「ER 勝廝院腺粥.掘璽坤鵑發發10シリーズ目。ということは、何年見続けているんだろう?/「さよなら、さよならハリウッド」ウディ・アレン/「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」ダーク・ピットものの映画化/「イン・ザ・プール」松尾スズキ 挫折/「野獣の青春」鈴木清順 宍戸錠/「ストーン・コールド」トム・セレック 原作ロバート・B・パーカー/向田スペシャル「春が来た」桃井かおり 松田優作

 

12月 18本

「クライシス・オブ・アメリカ」ジョナサン・デミ監督 デンゼル・ワシントン/「バタフライ・エフェクト」何度でも生き直す物語/「きみに読む物語」/消防士もの「炎のメモリアル」トラボルタ/「インファナル・アフェア3」/「レディ・ダルタニアン」マイケル・ヨークがダルタニアン!/「チャングム」11〜12/「ER 勝廝6/「宇宙戦争」 スピルバーグ、トム・クルーズ/「村の写真集」 藤竜也/横山秀夫「半落ち」寺尾聡/向田スペシャル「女正月」/向田スペシャル「響子」/京極夏彦原作「姑獲鳥の夏」堤真一 阿部寛 実相寺昭雄監督/「オペレッタ狸御殿」鈴木清順 いやはや…/「ブランニュー・ワールド」

 

 

――というわけで、合計173本。書き留めてみると、自分でもあきれるほどよく見てるわ。いったいいつ仕事をしているんだと、いつも原稿が遅れ気味のクライアントからお叱りの声が飛んできそうだ。ただ、残念ながら一昨年の「下妻物語」のように、“ぶっ飛びオモシロ”映画はなかった。しかし、こうやって眺めると、自分の嗜好がよくわかる。今年は映画だけでなく、買った本も記録していこうと思っている。本もまた何を買ったか忘れていることが多いんだよねえ。



(14:32)

October 20, 2005

 借りてきたDVDを2回見返して、2回とも鼻水が出てしまいました。

 映画などを見ていて、ある役者を“認識”するのは、必ずしも世間が“これだ”いうときではない。そのアメリカの中年男性俳優については、プロフィールを見ると『セブン』でブレイク、『ユージュアル・サツペクツ』でアカデミー助演男優賞受賞とあるが――両方とも見ているのだけれど――ぼくが“認識”したのはJ・エルロイの小説を映画化した『L.A.コンフィデンシャル』だった。
 その俳優とはケヴィン・スペイシーで、以降、C.イーストウッド監督の『真夜中のサバナ』、サミュエル・L・ジャクソンが主演だった『交渉人』、ピューリッツァ賞をもらったという文学作品の映画化『シッピング・ニュース』、SFチックな『光の旅人』などを見ているのだが、印象としては“どんな役柄でもこなせる――シブい――巧者”という印象だった。

 だからといって、彼の大ファンというわけではなく、見ていないのも多いのだが、この映画(DVDですが)を観たのは、古くはジェームス・スチュアート主演の『グレン・ミラー物語』、ダニー・ケイの『五つの銅貨』、ダイアナ・ロスがビリー・ホリディを演じた『ビリー・ホリディ物語』、近くはレイ・チャールズを描いた『Ray』、ケビン・クラインがコール・ポーターに扮した『五線譜のラブレター』など、ミュージシャンを描いた映画が好きだという流れなのだが、オープニングでケヴィン自身が歌う「マック・ザ・ナイフ」でいきなり引きずり込まれてしまった。

ビヨンド the シー この映画――『ビヨンド theシー』は、ボビー・ダーリンという1960年代のアメリカ・ポップス界のスーパースターだった歌手の物語だ。といっても、ぼくは名前は聞いたことがあるけれども、よく知らない。ただ、冒頭のケヴィンが歌う「マック・ザ・ナイフ」で、「ああ、この歌を歌った歌手か」と思った程度だった。タイトルの「ビヨンド・ザ・シー」もボビーの歌のタイトルで、聞けば耳になじみかあったから、アメリカではこのタイトルだけで「ああ、ボビー・ダーリンの映画なのね」とわかるのかもしれないけれども。
 従って、ぼくにボビー・ダーリンに対する思い入れは何もない。
 では、何で面白かったのかといえば、一にも二にもケヴィン・スペイシーだった。

 映画の中での大半の歌は彼自身が歌っており、ロカビリーからスウィングジャズ的なナンバーまで歌い分ける巧みさ(決してボビー・ダーリンの歌真似をしているのではないことは、ときおり流れるオリジナルを聞くと、ボビー・ダーリンの声はもっと甘いことからわかる。つまり、自分なりに歌っているのだが実にいい)。
 さらに、『ザッツ・エンターテイメント』に出てくるかつてのミュージカル映画のような1面もあり、いくどか群衆のダンスシーンがあるのだが、その真ん中で踊るケヴィンの見事さと恰好よさ。アメリカ・ショービズ界のレベルの高さを知らされるのは、こんな時だ。
 
 そして、もちろん物語の巧みさもね。
 感染症の心臓病で15歳が寿命と医師から宣告された少年が、母から音楽という素晴らしい世界を教えられ、“シナトラを超える”ことを目標に、義兄や姉らの力を借りながら売り出していく。そして、映画出演で知り合った若きトップ女優を口説き落として結婚し、グラミー賞も取り、映画にも出てオスカーの候補にもなる。
 しかし、60年代に入り、音楽シーンも大きく変わる。かつてはクラブが最高のステージであり、その中でも最高の「コパカバーナ」にも出たのだけれど、折しも、ベトナム戦争の時代だ。「音楽はクラブではなく、スタジアムの時代になってしまった」。もはや忘れられた彼はどうするのか。しかも、複雑な家族関係を初めて知らされる――。

 こいつをやりたかったのはケヴィン・スペイシー自身で、企画・監督・脚本も彼。企画から10年以上というから、ケヴィンのライフワークのひとつだったのだろう。

 映画の中で、いつも主人公につきまとうのが、「15歳で死ぬ」と宣言されたときの自分の幻影の少年で、ラスト、その少年と見事なダンスを見せるシーンは秀逸で……ここで鼻水が出るのです。

 映画のオフィシャルサイトにアクセスすると、ずっとケヴィンの「ビヨンド・ザ・シー」が流れている。
 http://www.gaga.ne.jp/beyondthesea/

 



(00:02)

April 29, 2005

 ジャッキー・チェンの映画を初めて観たのは、日本での公開順でいえば『ドランクモンキー・酔拳』に続く『スネーキーモンキー・蛇拳』(製作でいえばこちらのほうが先)で、いつだったか調べてみたら1979年のことだった。

 以降、おおむね公開のたびに観てはいたのだが、『プロジェクトA』(日本公開は1984年)とそれに続く『ポリスストーリー・香港国際警察』で、ジャッキー・チェンという俳優というか映画人の本領に驚かされて以降は見逃したことがない(『プロジェクトA』は一般試写会で観たのだけれど、NG集が披露されるエンドロールが出たとたん、会場では大拍手が巻き起こったものだ。エンドロールで観客から拍手が起こったという経験はもう1回あって、『ダイハード』です)。
 
80デイズ というわけで、『80デイズ』(原題:AROUND THE WORLD IN 80 DAYS)ももちろん観た。タイトルからわかるように、ジュール・ヴェルヌの小説の映画化だ。
 この物語の映画化としては、アカデミー賞作品賞に輝いたデヴィッド・ニヴン主演の邦題『80日間世界一周』(1956)がよく知られており、もちろん公開時ではないけれど、ぼくも観ている。
 このデヴッド・ニヴン版は、日本人には目よりむしろ耳に親しいのではないかと思うね。というのも、日本人の海外への夢をおおいに煽ったテレビ番組『兼高かおる世界の旅』のテーマ曲がこの映画の主題曲だったからで、おかげで、日本人はこの曲が流れると、「ああ、海外旅行ね」とパブロフの犬のごとくイメージが湧くようになってしまい、いまだにテレビ番組で“海外旅行”というと、この曲がよく使われる(ちなみに、調べたら『兼高かおる…』のスタートは昭和34年だが、何と平成2年まで続いていた)。
 
 時代は19世紀後半、まだ飛行機などないビクトリア朝時代のイギリス。ミスター・フォッグなる偏屈な貴族が、80日で世界1周できるかどうか社交サロンの仲間と賭けをし、雇ったばかりのフランス人の執事パスパルトゥとともに旅に出る。果たして賭けに勝つことができるのか――という冒険譚である。この物語を、ミスター・フォッグがやや偏執狂的な発明家であり、なおかつ主役を執事にして再映画化(なのか再々映画化なのか、はたまた再々々映画化なのかは知らないが)したのが『80デイズ』で、当然この執事がジャッキー・チェン。ただし、名前は原作同様「パスパルトゥ」で、中国人の主人公がそう名乗るいきさつのつくりはうまい。
 
 さらに本作は原作をなぞりながらも、中国人のジャッキーが早く故郷に帰らなくてはならぬ重要な事情があり、そのためにミスター・フォッグの従者になって世界一周計画を利用する、というサイド・ストーリーを用意して展開していく……のだが、本稿の主題はじつはここからなのです。
 
 この映画のサプライズ(売り)は、ワン・エピソードにアーノルド・シュワルツェネッガーが出ていたりすることだろうが、ぼくにとってのサプライズは、ジャッキーがうまく故郷に帰ることができたそのシーンで、サモ・ハン・キンポーが登場したことだ(ウェブの公式サイトにもそんな話は出ていなかったぞ)。

 何のことかわからない人には見終わってもわからないままだろうが(わかっている人にはネタばらしになってしまうのだけれど)、その役名がウォン・フェイ・ホン(黄飛鴻)であり、サモ・ハンの登場シーンに、あの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』のテーマ曲「男兒當自強」が流れるのだ。
 そこで思わずムフフフと喜んでしまったし、それだけでも、ぼくにとってこの映画は面白かったといっていい。
 
 この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』(略してワン・チャイ)とか、黄飛鴻についてはまた書きたいと思うけれども、ひとつ明かしておけば、ジャッキー・チェンの出世作『酔拳』の主人公が、この黄飛鴻である。
     


(07:08)