January 2009

January 29, 2009

 

手前味噌

 

 

 

Webで見つけた拙著『朝めしの品格』へのご意見の2回目です。褒められればやっぱりうれしい。ナンと“去年の新書のベストスリーの1冊”とおっしゃる編集者も……。

★朝めしの品格

市立図書館の棚で発見。大ヒットした品格モノの柳の下の何匹めかのドジョウの一匹と思しきタイトルだけど、内容は日本の朝ご飯決定版のウンチクを語ったもので、味わいのある著者のヘタウマ寸前のイラストと解説分が添えられ、読んでると一層トラディショナルジャパニーズブレクファースト、即ち、戦後の繁栄に伴いおかしくなった以前の朝ご飯を食べたい!と言う気持ちにさせられた。

知っているようで知らなかったエピソードが豊富で、時にはあの司馬遼太郎さんの取材不足に鋭いツッコミが入れられたり、イギリス発祥のサンドイッチと日本人の鉄火巻きは、貴族と庶民の違いはあれども、共にゲーム中のファーストフードとして手を汚さずに食べられるから‥…と言うトリビアの泉的な話などがあり、思いがけず面白いめっけもんでした。

団塊の世代のちょいと下の著者。ウンチクを傾ける事に掛けては年齢相応の安定感がありつつ、偉ぶらない、かつ滑り過ぎない書き方で、私にはとても読み易かった!

安直にパン食の朝食とってますが(そう、パン食が普及したのは美味しかったからはあるでしょうが、GHQのごり押し以上に用意するのがカンタンと言うのがあったと私は思う)、ホカホカしご飯に熱々の味噌汁、納豆に海苔に美味しい漬け物に玉子かメザシでもあったら、そして美味しいお茶。ホントはそれが一番!

 

■ 朝めしの品格

11月

いやいや、また本のタイトルにピンときて読んでしまいました。
でもこのピンとくる感覚、あまり外れた事が無い。

本書は、大変わかりやすいタイトルどおり朝食を構成する品々について触れている。
まずは梅干、味噌汁の具としての豆腐とワカメ、オカズとしての漬物、納豆、玉子、海苔、
朝食の主役であるコメ、忘れてはならない茶、

無量庵の料理サイトの一部は他の料理専門サイトでも公開しているが、ここで掲載している
朝食ネタは、ダントツでヒット数が高いアイテムである。みんな朝食ネタは好きなのかも?

ところで本書は、なかなか良い事を書いている。
例えば梅干、これは朝食アイテムとしては必須である。何は無くともまずは梅干である。
ところがこの梅干、最近は梅干とは呼べないまがい物が多く巷に溢れている。
UKIは、まがい物では無い本当の梅干を小田原まで買いに行くが、これはこれでわざわざ
梅干の為だけに小田原まで行くのはなかなか大変である。
が、この梅干割合簡単に作る事が出来るらしい。で、毎年著者が作っているその本物の梅干
のその作り方が載っている。これは、誰でも時間さえあれば簡単に作れそうである。

次に、こんなものがあったのか!と初めて知った茶節、即席味噌汁である。
鍋で煮る事なく簡単に美味しい味噌汁が出来てしまう優れもの。一度作ってみよう!!

また、これこそ朝食に欠かせないアイテム、漬物。
その漬物の中でも、嵌るとこれが無いと我慢なら無い漬物、ぬか漬けが実は、日本でしか作ら
れていない漬物なんだって!? 知ってたぁ〜!!

コメのコーナーはなかなか薀蓄が凄い。
江戸初期キリスト教の改宗がなかなか進まない中、一番改宗に効果があった拷問の方法が、
一日2合半しかおコメを食べさせない事だったんだったそうである。
その後太平洋戦争の最中、食べる事が困難だった時代、一日2合のコメでも弱音を上げずに
頑張った国民は、宗教よりも戦争により信心?が深かったのかと作家の坂口安吾は当時嘆い
ていたとか・・・
ちなみに現代では、一日コメを食べなくとも別段平気でいられる若者が多いのは、何を拠り
所としているんでしょう?(今は、コメ食べなくとも他に食べるものは沢山あるからネ)

既にこれだけ多く語られている「朝食」だが、その中にあって著者の視点は、まさに朝食の
基本であり、それをシンプルにかつ斬新に語った本書は、有りそうでなかった本である。

ちなみに蛇足だが、本書で語られているような朝食をじっくりと味わえる日常というのは、
普段の平日の朝ではなかなか実現出来ない。あえて実現出来るのは、時間にゆとりのある
休日となってしまうんでしょうねぇ〜。

 

朝めしの品格・無責任のすすめ

「朝めしの品格」・「無責任のすすめ」の2冊を読了する。

「朝めしの品格」は日本の朝食(ご飯・汁物・漬物とおかず)にこだわったエッセイ。朝食の成り立ちや味噌や漬物の歴史など書いてあり、なかなか興味深い内容だった。昨今、朝食が見直され食べるよう指導されている旨の話を良く聞くが実際はパンやコンビニで買ったものが多いような気がする。母親が丁寧に純日本食の朝食を作るのは少ないと思う。それとこの本に書かれていたことだが、「関西ではお粥を朝食に食う」とあったがこんな話は初めて聞いた。仮にあってもごく小さい局地的なことだと思う。なかなかおもしろかった

•2008年に読んだ新書ベスト3!!  

 まず、章立てに目がいきました。「一膳目、ニ膳目…十膳目、一服」とあり、梅干、味噌汁、漬物、玉子ごはん、コメ、お茶などに分けて、出るわ出るわ日本の朝めしの四方山話。
 朝めしの歴史、食材のウンチク、作家らの朝めし、塀のなかの朝めし、これがどこから読んでも知らなかった朝めし情報がぎっしり、発見多数、朝めしが深い!面白い!と思ったことなど一度もないですが、そう思えたのです。

 落ち着いた筆致とところどころに差し込まれる著者による挿絵&書き文字が本全体の雰囲気とぴったり調和して、しぶーい一冊に仕上がっています。
 「朝めしは生き方だ」とありますが、よく考えたら、晩めしより朝めしにこそその人となりが出るのかもしれない、とハタと気付いたのでした。良書です。

 

 



(18:25)