May 2008
May 12, 2008
拙著『朝めしの品格』は、マクロビオティックの雑誌『むすび』に「美味い朝めし。」というタイトルで連載したコラムが元になっている。連載は“元”であるから、当然、本として1冊にまとまったものとは違う。構成として、あるいは話の流れを調えることを目的として、削除した部分も多い。また、書き加えたいと思い、書いてみたものの、やっぱり削ったほうがいいと思って、新たに書いて、なおかつ削除したものがある。それから最終的にページ数の問題として削除したものもある。
でも、削除したとはいえ、それらはいずれも水増しのために書いたものでは決してなく、書いておきたかったから書いたものであって、クシャクシャと丸めてゴミ箱に棄てるには忍びない。 そこで、削除したものをあらためて拾い直し、あるいはヨソのブログなどから拙著について書かれたものを拾うなどして見たいと思った。 その1つ目がこれだ。
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(朝めしになぜ惹かれるのか)そのわが思いの源を探りつつ、いささか〈和の朝めし〉というものについて考察してみたいと思ったのが本書のきっかけなのだが、その最初に当たり、では他人はどんな朝めしを食し、どのような好みを持っているのか聞いてみたくて、ちょっとした調査を試みた。 なに、調査といったって友人・知人――下は20代の女子大生から上は50代のオッサンまで――に簡単な質問をメールで勝手に送りつけただけなのだけれども。
■「朝めしアンケート」をやってみた
結果は送付数40余に対して回答25、回収率6割強という悪くないものだったが、中身はというと、個人的な友人知人だからもう好き勝手な書きようで、
「アナタの理想の朝めしは?」
という質問(問6)に対して、 「昨夜知り合ったおねえちゃんと、いちゃいちゃしながらのコーヒーとクロワッサンですか……」(40代♂、フリーライター)
などと答えてくる不届き者もいたけれど(笑)、大半はマジメに答えてくれ、かつけっこう面白かった。だから本当は回答を全部載せたいほどなのだが、そうもいかないので、折りにふれて紹介することにしたいと思う。
さて、【問1】は
「アナタは朝めしをほぼ毎日食べていますか?」
というものだ。
ぼくと同業が多かったので、おそらく大半は食べていないだろうと思ったのだが、
ほぼ食べている 18(72%)
ほとんど食べていない 5(20%)
その他 2(8%)
――と、予想は裏切られて、おお、みんなけっこうちゃんと食べているじゃないの。
ちなみに「その他」というのは「ときどき」と「旅先では必ず」というもので、後者の彼は出張が多いのです。
【問2】は、その「食べている」という人に、
「あなたの朝めしの基本メニューを教えてください(和・洋・中を問いません)」
と、その基本スタイルを聞いたものだが、「基本的に“和”」と答えた人は8人。「おいしいパン! そしてコーヒー! そして果物!」(女子大生)などという完全“洋”派は2人。あとのほとんどは「パンの日もめしの日もある。その日その日の出来心」(50代♂、編集者)派で、いまの日本ではこれが一番典型かと思う。そういえば「きな粉牛乳」という人も一人いたな。
ここでポンと飛んで、【問5】は、 「味噌汁・漬け物以外で“これは和の朝めしの友”とアナタが思うアイテム」 いくつあげてもよし(複数回答)としたので、まあ、いろいろ出ました。集計して多かった順に並べると――。
納豆14(56%。以下%を略す)/アジの干物・塩鮭・海苔・卵焼き各10(40)/生卵8(32)/たらこ7(28)/干物(若狭カレイ・シシャモ・みりん干し・めざし)6(24)/目玉焼き・梅干(梅干は漬け物と別にした)・佃煮(海苔、しぐれ、伽羅蕗、小魚)各5(20)/しらすおろし4(16)/おひたし3(12)/ひじき煮・ちりめん・山椒・塩昆布各2(8)
以下は1点ずつ(4)で、
カマボコ、きんぴらゴボウ、レンコンのきんぴら、ピーマンとニンジンのきんぴら玉子入り(どんな料理だろう?)、煮豆、長ネギ入りの炒り卵(池波正太郎先生の『鬼平犯科帳』のファンであることがわかる)、おきゅうと(そうか、彼は福岡出身だったか)、小ナスの一夜漬け(富山出身だそうです)、水ナスのぬか漬け(大阪のものだというのですが)、大根おろし、切り干し大根煮、キビナゴの煮たもの、ジャコ、からし高菜、ゆで卵、前夜の晩飯の残り(たとえば鍋物類、とあった)。
……ホラ、やっぱり、どれでも酒が飲めるじゃない。
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このアンケートを実施したのはたぶん2001年の年末頃。 20代の女子大生は社会人となり、結婚するとかしたとかいう話を聞いた。「昨夜知り合ったおねえちゃんと、いちゃいちゃしながらのコーヒーとクロワッサンですか……」(40代♂、フリーライター)とふざけた答を送ってきた後輩は、本書を目にすることなく3年前にがんで逝った。
この最後の「ホラ、やっぱり、どれでも酒が飲めるじゃない。」というのは、「酒の肴は朝めしの菜と同じ」という池田弥三郎さんの“名言”を受けてのものだ。
これ以外に、「私の究極の朝めしの友」があれば、ぜひ教えてください。
May 03, 2008

おまえの噂 耳にしたのは
ふらりドアを開けた見知らぬBarで
隣り合わせた男たちが 忘れかけていた名前 口にしたのさ
どうやらおまえは いまでもいい女
バカな男たちを手玉に取っているらしい
あの頃ぼくが もう少し大人なら
おまえのいらだちを わかってやれたのに
ぼくの前には ドライなダイキリ
おまえが好きだったラムのカクテル
一口啜ればぼくのからだごと
あの頃に連れて行ってくれそうだよ
いつも不機嫌なおまえにいら立って
雨の街角で殴ったこともあったけど
怒ったような泣き出しそうな
その時のおまえの目を いま思い出したよ
探していたものは見つかったのか?
足りない何かは手に入れたのか?
ぼくはぼく自身を飼い慣らせなくて
傷つけあって そして別れて……
いまでもぼくは独りでいるよ
優しい女たちもいるにはいたけれど
何だかもひとつ 本気になれなくて
半端な恋ばかりを繰り返してる